病気の治療方法と手術体験談

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精索静脈瘤の低位結紮手術の体験談-1(手術当日)

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本日はいよいよ精索静脈瘤の手術日。 T大学病院で指定されていたSクリニックで手術を行う予定。 朝からソワソワして落ち着かない。

他の精索静脈瘤の手術した方のブログを拝見すると、痛かったと報告している方もいるが、それほど多くは無かった。 痛くて歩けないという方も中には存在し、ホテルに宿泊をしたとか、苦痛の人もいるようだった。

痛くなかったという方は、本人が書いているのではなく、妻が「夫の不妊症のブログ」として投稿しているケースが多かった。 痛いかどうかは本人しかわからないのだ。 気を紛らわそうにも直前になるとどうにもならなく、Sクリニックへ向かった。

手術の予定時刻は17時30分だったが、16時に到着してしまった。 普段から余裕をもって行動しているつもりだが、緊張していて早く出発し過ぎた。 自宅で手術のことを調べていると、余計緊張感が増すため早く家を出たかったというのもある。

1時間ほど駅周辺を散策して、17時にSクリニックで受付をした。 受付のお姉さんに手術予約している旨を伝えると、お掛けしてお待ちくださいとのこと。 指定時刻の17時30分になると、予約時刻丁度にT大学病院泌尿器科の医師が到着した。

まず、問診をして、手術に対する疑問点などを聞かれた。 事前に行っていた精液検査の結果を手術直前に知らされた。 結果は良好であった。 (参考:精索静脈瘤の手術予約と精液検査を受診した

これから手術をするのに、精液検査の結果が良かったのはラッキーなのかアンラッキーなのか複雑な気持ちであった。 精液検査の結果が良好であるにも関わらず、痛い思いをして高額の費用を払ってまで手術を受ける必要性があるのかどうかという点。 そうはいっても、ここまできてやらないというわけにもいかないので、両側やると伝えた。

問診が終わると次に手術室に行く指示があった。 手術室というより処置室のような部屋に入る。 ズボンとパンツを下ろしてベットに上がるように指示された。 執刀医以外はみな女性なので、少々恥ずかしい。 しかし手慣れているので、お構いなしにどんどん準備は進んでいく。

ベットの上に寝かされ、陰部周辺に紙をかぶせられた。 何故それを被せるのかは、不明だったが、緊張と恐怖心で聞くことも見ることもしなかった。

まず痛みの強い左側から手術することになった。 左側の下腹部から陰部周辺に麻酔をする。 これが痛い! 予想以上に痛い。 部位にもよるが、陰茎と睾丸の付け根に麻酔をして、それを奥まで入れてグリグリするので気絶しそうなくらい痛かった。 (※実際は、麻酔液が注入されるのが痛い。) 参考にしたブログに書いてあった通りだ。 痛くないという人もいたので神経の個人差だと思う。 痛くなかったという人は、もしかすると全身麻酔で受けている人なのかもしれない。

執刀医は「険しい顔してるねぇ」と笑っていたが、こちらはそれどころではない。 陰部周辺の注射がこれほどまでに痛いものかと感じた。 特に陰茎に近づけば近づくほど、痛みが増す。 更に深く深く麻酔液が入ってくるので、拷問のように感じる時間であった。 時計をちらちら見る。 まったく進んでいない…。

この麻酔さえ終われば、何をされても大した痛みは感じない。 メスで切開する前に、器具で皮膚をつついて、痛いかどうか(知覚があるか)確認される。 痛みを感じなければメスで切開する。

切開後に血管の塊(束)を引っこ抜いた。 これは少し痛かった。 麻酔が十分にされていないと痛みを強く感じる。 (もしくは麻酔が切れてきた場合) 私は痛くて痙攣しそうになってしまったので、麻酔を追加してもらった。 自分の目で血管の束を見てしまっているため、気持ち悪さと恐怖心が痛みを増強させているような気がする。

太い血管を引き出した後、血管を何本かに仕分けて、1本ずつ結紮する。 パチンパチンと鋏だかペンチのような器具で血管を切っている音が聞こえる。 血管を切った後、ドップラー血流計を使い、血流の音を確認する。 ここまでくると見た目が気持ち悪いだけで、痛みは殆ど感じなくなる。

最後に縫合し、19時位に左側が終わった。 その後、右側も手術するかどうか決めてくれと言われ、「やる」と答えた。 医師や看護師も、意外そうな顔をして「えっ、やるのかよ」みたいな感じで笑っていた。

後から聞いた話だが、「左側を結紮した際に相当痛そうにしてたし、これは無理かな、今回は片側だけにしておく予定だった」と仰っていた。 私としては、痛い手術を後日追加で受けるには辛すぎるため、頑張って両方同時に済ませたかった。

右側の手術が開始されると、同じように麻酔から始まる。 これまた半端じゃない痛さ。 最初にやった分少しは緩和されるのかと思いきや、反対側の部位になっただけで、痛みは振り出しに戻る。 先生「痛そうだねぇ」 私「あー。うっ。ぐっ。」 あまりに痛すぎてまともに言葉にならなかった。

もうそれ以上奥に注射しないでと言いたいが、言葉にならないし、奥に麻酔液が浸透しなければ、切開時や血管を引き出す際に痛いだろうから、仕方のない痛みとして受け入れるしかなかった。

1時間ほど左側と同じ内容を繰り返した。 手術後に、「麻酔が少なかったみたいねぇ」と医師。 わかってるなら先に麻酔追加してくれれば良いのにと思ったが、恐らく私が麻酔を痛がるから追加しなかったのだろう。

手術が終わると、再度診察室に戻り手術内容の説明をされる。 左側17本結紮、右側13本結紮した。 ロブ(疼痛時)とセフゾン(抗生物質)を処方された。 終わってしまえば、安堵と放心状態で、特に聞きたいこともなく、すぐに会計となり現金で42万円の支払いをした。

両側の手術をしたせいか、術後は麻酔がすでに切れていて痛かったので、ロブを飲みたいと伝えた。 受付の人がお水持ってきてくれたので、その場(会計した場所)で飲んだ。

いよいよ帰りで、ここからが問題。 椎間板ヘルニアで腰が悪い上、両側を手術したため、歩くのが困難だった。 片側手術の場合、どちらかの足で歩幅を稼ぐことができるが、私の場合は両側だったため、歩幅が10cm位しか進まなかった。 どこぞの人が言っていた、まさに牛歩という感じで、信号なかなか渡れなくて怖かった。 帰りは、付き添いがいたので安心感はあったが、一人だったら危なかった。

自宅までは電車を乗り継ぎ2時間で帰る予定だったが、この状況で満員電車は不可能と判断し、電車とバスとタクシーで帰った。 両側を手術する人は、(仕事が休めるなら)ホテルなどに泊まったほうが賢明かもしれない。

もし同じ手術をするなら私は高位結紮術にすると思う。 全身麻酔で保険が効くし、今の技術なら結果も変わらないだろうし。 もちろん、低位結紮手術で保険が効いて、全身麻酔できる病院があるなら、そちらを選択する。 身体への負担は低位結紮手術の方が少ないようなので、仕事で忙しい方は低位のほうが良いかもしれない。 不妊症で子供を待ち望んでいる方には検討してもらいたい手術。

次回は13日に術後の検査に行く予定。

続き 精索静脈瘤の低位結紮手術の体験談-2(手術翌日)