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障害年金と老齢年金と遺族年金をセットで考えて加入すること

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昨今「どうせ貰えないから」という理由で年金の未払いが増えているが(サラリーマンは自動的に加入するので問題なし)、障害年金を受給するには年金の加入が必須であることを忘れてはならない。

現在40代以下の人にとっては、将来年金が支払われる年齢が徐々に引き上げられ、定年そのものが廃止され、支給開始が70歳、80歳、90歳まで引き上げられると言われている。

ガンを筆頭とした3大疾病以外での自然死においては、死にたいと思ってもなかなか死ねないほどの高度な医療を受けられるようになり、人間が長生きできるようになったためである。

トータル受給額を一定にするには、年金受給開始年齢を遅らせるか、国民年金保険料を引き上げるか、他に税金を徴収するしかなく、現実的には、年金支給を遅らせるのが妥当な線だと考えられる。

老後の年金支給にばかり目がいきがちだが(これからの世代は、支払額より受取額のほうが少ない人のほうが多くなるため、老齢基礎年金に関してそれほどメリットはない)、問題は、障害になって働けなくなった際に支払われる障害年金にある。

障害の程度「障害認定基準」

障害年金は、障害の程度「障害認定基準」によって判断されている。

障害認定基準は、変更される可能性があるため、詳細は、日本年金機構のウェブサイト(PDF)で確認していただきたい。

1級、2級は国民年金法施行令、3級は厚生年金保険法施行令によって規定されていて、障害等級によって、法令が異なっている。

言い回しがわかりにくく堅苦しい表現で記載されている。 そして文字検索ができないので、条文がどこに書いてあるのか、探すのが面倒である。

障害年金1級の認定基準

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。

日常生活がほとんどできないもの。

例えば、身のまわりのことはかろうじでできるが、それ以上はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね寝床室内に限られるものである。

活動範囲は、ベッド周辺でしか生活ができないもの。

障害年金2級の認定基準

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要は無いが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。

例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家庭内に限られるものである。

日常生活に著しい制限を受けるもの。

などの日常生活に著しい支障をきたす状態であると、判断されることが多い。

障害年金3級の認定基準

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。

また、「疾病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(「疾病が治らないもの」については、第3の第1章に定める障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。)

労働に著しい制限を受けるもの。

フルタイム勤務が可能な人は、労働に制限があるとは見なされない。

※目・聴覚・肢体の障害などがある場合はこの限りではない。

1級、2級は日常生活能力に対するもの、3級は労働能力に対するものにより認定基準が異なる。

障害年金の受給要件

3つの受給要件を満たしている必要がある。

  1. 初診日に被保険者であること(年齢要件)
  2. 障害認定日または裁定請求日に、障害の程度が等級に該当すること(障害の程度要件)
  3. 保険料の納付要件を満たしていること(保険料の納付要件)

現役世代(原則として20歳以上~65歳未満まで)が、病気や怪我の後遺症により日常生活や就労に支障があり、その支障が1年6ヶ月以上継続していて、初診日の前日において保険料の納付要件を満たしている場合は受給可能となる。

障害年金はいくら受給できるのか

初診日に加入していた年金制度によって、障害年金の受給額は変動する。

初診日に加入していた年金制度が以下の場合

となる。

1級 2級 3級

障害厚生年金
2階

配偶者の加給年金

障害厚生年金
1級

配偶者の加給年金

障害厚生年金
2級

障害厚生年金
3級

障害基礎年金
1階

子の加算額
障害基礎年金1級 子の加算額
障害基礎年金
2級

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金1級 月額81,200円(年額975,100円)+子の加算額

障害基礎年金2級 月額65,000円(年額780,100円)+子の加算額

子の加算額、第1子、第2子、 月額各18,700円(年額224,500円)

第3子以降 月額6,200円(年額74,800円)

配偶者の加給年金額 年額224,500円

障害厚生年金の受給額

平均標準報酬(会社に入社してから障害認定日の前までの間の平均額)によって算定する。 入社25年に満たない場合は、25年間働いたとみなして計算する。

障害厚生年金1級=障害基礎年金1級+子の加算+配偶者の加給年金+報酬比例の年金額×1.25倍

障害厚生年金2級=障害基礎年金2級+子の加算+配偶者の加入年金+報酬比例の年金額(最低保障なし)

障害厚生年金3級=報酬比例の年金額最低保証額585,100円

障害年金の書類審査に必要な書類

受診状況等証明書」…医師が作成。初診日を証明するために必要となる。

診断書」…医師が作成。障害の状態を確認するために必要となる。

病歴・就労状況等申立書」…本人や家族が作成。初診日と障害の状態の両方を確認するために必要となる。

書類の提出までの手順

初診日を「受診状況等証明書」で確認する。

初診日が確認できたら、年金事務所で納付要件を確認する。

納付要件が通ったら、初診日から1年6ヶ月後の現症日(障害認定日)の「診断書」を依頼する。 それと一緒に現在の「診断書」も依頼する。 診断書が2枚必要な場合は、障害認定日請求をする場合。

診断書が出来上がったら、初診日や、障害の状態が正しいか確認する。

初診日から現在に至るまでの症状の変化や受診状況、日常生活状況、就労状況を「病歴・就労状況等申立書」に記載する。

3つの書類の整合性を確認して、提出する。

精神疾患での受給要件に注意

精神疾患でも受給が可能となっているが、見ただけで分かるような明らかにおかしい人を除いて、本当に疾患があるのかどうか疑わしい人も多く存在する。

精神疾患でないのに精神疾患を装うことができるため、医師の判断と診断書が必要となる。 医師の診断書があっても認定されるとは限らない。

また、精神疾患でも「人格障害」「神経症」「適応障害」「不安障害」「強迫性障害」「パニック障害」は、原則として認定の対象とはならない

神経症は、長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とはならない。 ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り払う。

気分障害(感情障害)は適応なのが不思議であるが。 気分障害は項目が広いため、対象としているが、認定されるかどうかは、その時次第となることが多い。

精神科疾患の病名は、症状や病名は似ていてどちらで扱ってもよいものが存在する。 ということは医師のさじ加減一つで変わる可能性もある。 別の病院に言ったら、別の病名を付けられたというのは良くあること。

更に都道府県によって認定率も違っている。

精神疾患というのは(物理的に)目に見えないところが大きいので、かなり不公平が生じてしまう問題がある。

領収書や処方箋を保存しておく

現在は電子カルテ化しているので、5年以上の医療情報は遡って確認できるようになったが、それ以上の期間の保管義務はないため、昔のデータがわからなくなる場合がある。

障害年金では「初診日等の情報」が重要になるため、領収書や処方箋、病状のメモ、健康診断結果などが手がかりになる場合がある。 通院している病院の電子カルテが、永久保存しているかどうか確認しておくのも手である。

健康診断の結果が重要である理由の1つとして、「健康であるデータ」でも「不健康の状態のデータ」でも連続して保存しておくことにより、いつの時点で異常に変わっているかが判明する点にもある。